執筆の練習

レオン「では、この婚約に反対する者はいるか?」
レオンは声を張り上げて言った。
先程まで、ざわざわとうるさかった舞踏会場も、
今はもう私たちを祝福するムードに変わってきている。


私はこの人と結婚する。
そうすれば、私は元の世界に帰れるし、
朱月も"物語"が完成してうれしいだろう。
しかし、私は嫌だった。
"物語"が完成するということは、管理人は不必要になるということ。
つまり、朱月は完全に消滅してしまう。


朱月「今まで、色々なことを諦めてきた。だから、俺は使命を取る」


昨夜のことを思い出し、目尻が濡れてきた。
駄目よ、もうすぐフィナーレだっていうのに。
最後は笑って完成を迎えたいもの。


レオン「…」
気が付くと、先程はやんわりとしていた会場が、
また騒がしくなっていた。
一体どうしたのだろう?
私は顔を上げた。するとそこには、


レオン「…魔法使いか」


こちらを睨みながら近づいて来る、朱月の姿があった。