執筆の練習

美緒「朱月…?」
朱月は私の方を見もしないで、レオンと対峙した。


レオン「一応理由を聞こう。 どうして反対なんだ?」


王族の誇りか、それとも彼の性格なのか、
レオンは微笑したままだ。


朱月「美緒が望んでいない。 それに…」


朱月がこちらを向いた。
私の視線と交錯する。
彼の真紅の瞳を見ると、私の心臓はいつも高鳴った。
そうして、まるで蛇に睨まれた蛙のような気分になる。
けど、それは嫌なことでは無かった。


朱月「俺も望んでいない」
レオン「フン。たった一人の意見なんて無視しても構わないのだが…」


レオンは横に立っている兵士の元に歩み寄ると、彼から剣を奪った。
そして、それを朱月に放り投げた。


レオン「いいだろう、受けて立つ。 王族らしく決闘…、一騎打ちといこうじゃないか」


朱月は慌てて投げられた剣を受け取った。


朱月「これは…?」
レオン「サーベルだ。 お前が魔法を使ったら、俺に勝てるわけがないだろ?」
朱月「…」


最初、顔をしかめていた朱月だったが、
わかった、と頷くと、さも気にしていないかのように構えを取った。


レオン「潔いな。 …では、始めるとしよう」


そう言い放つと、レオンも腰にかけていた剣、クレイモアを構えた。


瞬間、世界が凍った。